家族写真の主役である子どもが大きくなるにつれ、デジカメの出番がめっきり減ってしまったという方も多いのではないでしょうか。そのままカメラをしまいこんだままにするケースもありますが、定年退職などで少し時間に余裕が生まれると、もう一度デジカメを趣味として始められる方も多いのだとか。せっかくなら新しいものを買って、いろいろな機能を使って楽しみたいものの、日進月歩のデジカメはどれを選べばいいのかさっぱりわからない……。そんなお悩みに応えるため、最近のデジカメ事情とその選び方のポイントを、プロカメラマンであるヤマワキさんにお聞きしました。自分にぴったりのカメラを選んで、写真撮影を楽しみましょう。旅先で感動した風景、旧友と訪れたレストランでの美味しい食事、丹精込めて育てた花、遊びに来る孫たちの笑顔……そんな大切な時間を、思い通りに写真で切り取るためのひと工夫とともにご紹介します。

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デジカメ選びのポイント

●使いやすいサイズと重さで探す

あなたにぴったりのデジカメ選び、第一のポイントは“サイズと重さ”。メーカーや機種によって性能にも様々な違いがありますが、同じ価格帯でみると、年々その差は小さくなっています。だからこそ、性能よりも、まず気になったものは実際に手にとって、サイズ感や重さをチェックしてみましょう。

「日常的に持ち歩いて気軽に撮りたいなら小さくて軽めのデジカメ。多少重くても苦にならないシーンが多いならどっしりした一眼レフカメラ。といったように、使うシーンに応じたサイズと重さを考えることが大切です。例えば、ハイキングしながら自然の写真を撮ろうと考えていても、何キロも歩くにはカメラが重すぎ、結局撮らなくなってしまった…ということにもなりかねませんから」

自分なりに持ち歩きやすいものを選ぶことで、そのカメラで撮影する頻度が高くなります。たくさん撮ることが写真撮影のスキルを磨く第一歩、とヤマワキさんはおっしゃいます。

「デザインやカラーも、デジカメ選びの大切な要素。カメラを楽しみながら上達させるために、持っていくのが楽しくなるようなお気に入りのカメラを選んでほしいですね」

●予算を決めて探す

次に考えるべきは、“予算”。デジタル一眼レフ、ミラーレス一眼、コンパクトデジカメのカテゴリーごとに、その特長と価格帯を見ていきましょう。

【デジタル一眼レフ】

映画のワンシーンのような背景のボケ感を表現できるデジタル一眼レフは、スマホやコンパクトデジカメよりも幅広い表現が楽しめます。“レフ”は“レフレックス(反射)”の略で、鏡の反射を利用した構造が特徴です。

10万円前後のエントリーモデルや30万円前後のミドルクラス 、タフな使用状況にも耐えうるハイエンドは40~50万円前後と、幅広い価格帯です。価格が上がるほど高画質になりますが、商業用の大きなポスターなどを作成するのではなく、一般のプリントサイズであればどの機種でも十分に美しく再現されます。エントリーモデルの場合、より簡単に撮りたいシーンに合わせて撮影できるなどの機能が豊富に搭載されています。

【ミラーレス一眼】

昨今話題になっているミラーレス一眼。大きく重たかったデジタル一眼レフを、もっと手軽に持ち運べるようにと開発されたもので、デジタル一眼レフと同じような性能を持ちながら、より安価に入手することができます。イメージセンサー(後述)の大きさにより、大まかに5〜6万円・10万円前後・20万円前後に分けられます。

レンズもデジタル一眼レフに比べて小さいので、複数のレンズを持って撮影に出かけるのにも、持ち運びやすく便利です。

【コンパクトデジカメ】

レンズ一体型で、さっと気軽に撮れるコンパクトデジカメ。大まかに2万円前後・4〜5万円・10万円ほどの価格帯に分けられます。最近ではラインナップが豊富で、一眼並みの高画質のものや、一眼では難しい高倍率ズーム撮影が行えるものも登場しており、日常使いや趣味再開の手始めとしてもお勧めです。

デジカメの性能を左右する「イメージセンサー」とは

カメラの種類と主なイメージセンサーのサイズ

各カメラが搭載しているイメージセンサーの例

イメージセンサーとは、レンズを通して入ってきた光を感知してデジタル信号に変換する部分で、フィルムカメラでいうフィルムの役割を担っているところです。イメージセンサーが大きいほど、高画質かつボケの効果を大きくすることができます。様々なサイズがあり、スマホには1/2.3型など非常に小さなセンサーが搭載されています。

一般的に、センサーの大きさに比例して、カメラ本体は大きく、価格は高くなります。プロ仕様のデジタル一眼レフでは35mmフルサイズ、ミドルクラス・エントリーモデルのデジタル一眼レフ・ミラーレス一眼では、APS-C、マイクロフォーサーズが搭載されていることが多いです。1型はミラーレス一眼やハイエンドなコンパクトデジカメなどに搭載されています。しかし、最近では35mmフルサイズのイメージセンサーを搭載したミラーレス一眼やコンパクトデジカメが登場するなど、日々進化しています。

デジカメを買う時に、画素数を気にする人が多いかもしれませんが、デジカメの性能はイメージセンサーの大きさによるところが大きいので、こちらに着目してみてください。

※イメージセンサーのサイズは厳密に規定されておらず、各社搭載製品によって多少の差異があります。

それぞれの特長を参考にしながら、自分のこれからの撮影スタイルと、決まった予算の中でどの種類・どの価格帯のデジカメを買うかを考えましょう。ヤマワキさんが強調されていたのは、デジタル一眼レフとミラーレス一眼の価格の違いは、性能ではなく構造の違いによるものだということです。デジタル一眼レフは、鏡の反射を利用した構造になっており、ミラーレス一眼はその名前の通り、そのような鏡はありません。デジタル一眼レフは、その鏡の部分が精緻な仕組みになっている分、同じレベルの性能を持つミラーレス一眼に比べ高価なことが多いです。このように、一概にカメラが高額なほど性能が良いとは言い切れません。

「僕が個人的にお勧めするのは、同じ予算であれば、デジタル一眼レフではなく、同程度の性能を備えたマイクロフォーサーズ等のイメージセンサーを搭載したミラーレス一眼を選んで、残った予算で様々なレンズを揃える方法です。広角レンズや望遠レンズなど、レンズを変えることで表現の幅がぐんと広くなります。最近はミラーレス一眼用のレンズ種類も増えてきているので、予算内でたくさんの選択が可能になっています。またミラーレス一眼のいいところは、EVF(電子ビューファインダー)で見えたままの状態が撮影できること。明るさやボケ感などを画面で確認しながら撮影できるので、デジタル一眼レフよりも使いこなしやすいかもしれません」

デジタル一眼レフとミラーレス一眼の構造の違い

デジタル一眼レフ、ミラーレス一眼は
レンズを揃えて撮影をもっと楽しむ

●ヤマワキさんお勧め、レンズの選び方

ズームレンズは様々な画角をカバーでき、最も流通しているレンズの一つです。焦点距離24~70mm(35mm判換算)程度の標準ズームと呼ばれるレンズは持っておきたい1本です。

さらに、一段上の写真を目指すなら「単焦点レンズ」の使用をお勧めします。

単焦点レンズは、ズームレンズに比べて画質(解像度)が高く、絞り値(F値)が小さいものが多いです。例えば、標準ズームはF3.5-5.6などであるのに対し、単焦点レンズはF2.8以下のものも多数あります。このF値の値が小さいとより表現の幅が広がります。

F値が小さいほどピントの合う範囲が小さくなるので、ボケの効果を大きくすることができます。また、光を通す量が多いので、速いシャッタースピードに設定して、水しぶきが飛び散った瞬間など、一瞬の出来事を時間を止めたように表現できるほか、暗い部屋でも手ぶれせず、比較的明るく撮ることができます。ズームができないなど不便に感じることもあるかもしれませんが、慣れれば不自由はなくなってきますよ。

最初は標準ズームで満足していても、撮影を追求していくときっと単焦点レンズが欲しくなってくるでしょう。単焦点レンズの中では、まずは、標準レンズと呼ばれている50mm(35mm判換算)がお勧めです。

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デジカメの楽しみ方:見せたいものを際立たせる

自分にぴったりのデジカメを選んだら、次はいよいよ撮影!ワンランク上の写真を撮るために押さえておきたいポイントは、「何を見せたいか」をしっかり意識すること。この場合の「何」とは、単に被写体を選ぶということではありません。「美しい!」や「かわいい!」など、被写体に対してどのように気持ちが動いて(感動して)シャッターを押すのか?を考えることだと、ヤマワキさんは言います。これを意識して撮影することで、写真の深みがぐっと増します。

そして、思い通りの写真を撮るために、まず身につけたいテクニックが、立体感の見せ方とピントとボケ感を活用した遠近感の見せ方です。

●立体感の見せ方

「私たちが平面であるキャンバスに描かれたモノを見て立体だと感じるのは、それが立体に見えるよう絵画的手法が駆使されているからです。逆に言うとその条件さえ把握しておけば立体感を出すことができるわけです」

その手法とは何でしょうか?まずは画面内の手前と奥のモノに、大小の差があること。後ろにあるモノが小さければ小さいほど、立体感を出すことができます。次は平行のラインが奥に行くほどその幅を狭めていること。絵を描くときと同じ原理です。

「これら二つを実現するもっともシンプルな方法、それは“ナナメから撮る”こと。とっても簡単でしょう?どこを際立たせて表現したいかを考えながら、アングルを探してみてくださいね。きっと新しい発見があるはずですよ」

立体感の見せ方

●遠近感の見せ方

「例えば花束を撮影するとします。同じ花にピントがあっていたとしても、ピントを合わせたポイントの前後をボカすことで、写真に遠近感が生まれ、見せたいものが一層際立ちます。自分が何を見せたいのかを明確にして、それをしっかりと写真で表現することが、“一味違う”写真につながります」

遠近感を出す

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常に新しい発見を求めて、モノを見る

「写真の面白さとは、普段とは違う“モノの見方”を楽しめるというところにあるのではないでしょうか。いつもより高い場所から見下ろしたシーン。子どもや動物のような低い視点から見上げた世界など。普段とは違う視点から見る世界には新鮮な驚きが満ちていると思うんです。固定観念に囚われて物事の価値を決めるのではなく、ちょっと変わった見方をしてみることで、新しい価値に気づくことができるはず。そうやって常に新しい発見を求めていければ、飽きる事なくカメラを趣味として長く続けていけると思います。カメラを趣味にする人たちが集まるワークショップなどに出かけるのも、価値観を広げるうえでいい機会になりますよ」

「“Keep Fresh”———新しい価値観を発見し続けること———それこそカメラを楽しむことによって叶えられる、豊かな『生き方』なのだと僕は思っているんです」

カメラを楽しみながら、普段の生活に新しい価値を見出す。そういった習慣を身につけて、長く楽しめる趣味として楽しんでいきたいものですね。

ヤマワキタカミツさんのプロフィール